Benesse

COSMIC FRONT ファーストスター誕生

番組ID:31

  • 小学校中学年~一般の方向け
  • 約25分

子どもの頃に夜空を見上げて探した「一番星」。
それを待ちわびていたかのように暗い夜空に輝きだす二番星、三番星。
いつしか空は無数の星に埋め尽くされていきます。
同じように、宇宙にも一番最初に輝きだした星があるはずです。
誕生直後の宇宙にはひとつの星もなく、ただ暗闇だけが広がっていました。
暗闇が支配する宇宙を光あふれる世界に変えた、特別な天体。
それが闇の中で一筋の光を放つ「ファーストスター」です。
シミュレーションが描き出すその姿は、現在の宇宙ではまず見ることのない、太陽の百万倍の明るさで輝く青白い星だといいます。
科学者たちは今、ファーストスターを解明しようと、さまざまな挑戦をしています。

銀河や惑星、そして生命があふれる地球を生み出すきっかけともいうべきファーストスター誕生の秘密に迫っていきます。

  • 1. およそ138億年前、宇宙はビッグバンと呼ばれる大爆発によって誕生しました。はじめ、宇宙はとても熱い火の玉のような世界でした。そこでは素粒子が勢いよく飛び回り、光も素粒子とあちこちでぶつかって真っすぐに進めずにいました。やがて、宇宙の膨張が進み、温度が下がってくると、素粒子が集まって結びつき次第に原子ができていきます。このころ、光は他の粒子とぶつからず、真っすぐ進めるようになり、光は宇宙全体に広がっていったのです。

  • 2. 宇宙のはじめに放たれた光のなごり。それまで光のなごりは均一だと思われていました。それに反し、実際にはムラがあることが分かったのです。星が生まれるとは考えられなかった大きな謎も残ります。
    2001年、新たな探査機が打ち上げられました。WMAPです。宇宙のムラがきめ細かく観測され、暗黒物質ダークマターで満たされていることが分かりました。

  • 3. 宇宙のはじめの観測が進んだことから、東京大学の吉田直紀教授は観測データをもとに宇宙がどのように形作られていったのか、スーパーコンピューターを使ってシミュレーションを行いました。それはまるで料理と同じ。
    100を超える方程式で調理していきます。ファーストスターができるのに7年もかかりました。

  • 4. シミュレーションが完成しました。ファーストスター誕生です。ビッグバンからおよそ5億年ものことです。
    「重さは太陽の100倍かそれ以上。表面の温度がすごく高いので色は青~青白い、明るさは太陽の100万倍で真っ暗な宇宙の中で猛烈に明るく輝く星ということが言えます。」と吉田教授は話します。
    この星の誕生は宇宙の歴史も大きく変えていくことになります。

  • 5. 私たちが住む地球。様々な物質は酸素や窒素、鉄など100種類近い元素からできています。生命も様々な元素から生まれました。

  • 6. どうして地球はこれほど豊かになったのか。
    その多様性の謎を解く鍵もファーストスターにありました。星も私たちと同じように生まれれば必ず死を迎えます。
    しかも、重い星ほど寿命は短くなります。

  • 7. ファーストスターは重い星のため、2000万年ほどの命でした。
    核融合を繰り返し、遂には自らの重力に耐えきれなくなり、爆発的に崩壊します。
    このような現象は超新星爆発と呼ばれています。
    ファーストスターが生まれ成長し、最後に大爆発して死を迎えるという一連の営み。
    それは宇宙に様々な元素をまき散らし、多様性を生み出す第一歩だったのです。

  • 8. やがてまき散らされた様々な元素はガスに取り込まれます。次に生まれる星の種となるのです。
    そして、セカンドスターができます。その後も星は生まれては死に、それを繰り返し様々な元素も広がっていきます。

  • 9. こうした宇宙の営みの中で私たちの天の川銀河が生まれ、太陽系も生まれます。
    惑星が生まれ、地球も誕生したのです。
    ファーストスターは私たちの住むこの世界にも深く関わっていたのです。

  • 10. ファーストスターを生む大きなきっかけとなった宇宙のムラ。日本の宇宙物理学者、佐藤勝彦さんがインフレーションという理論を提唱しました。「インフレーションとは火の玉の宇宙、ビッグバン宇宙をつくる理論」と話します。
    ファーストスターの誕生。そこには宇宙創生のダイナミックな物語が秘められていました。
    それでも、どこにあったのか、今どうなっているのか、ファーストスターの謎はまだ残されています。
    ファーストスターに迫る研究は今、熱い視線が注がれているのです。